ストーン物語 Ⅲ

六本木にある「東京ミッドタウン」の地下に大理石の大きなオブジェが展示されています。高さ約2m、幅3m超の巨大な彫刻です。その大きさにも関わらず、丸いフォルムと映り込みのない艶をおとした滑らかな仕上げが柔らかい印象を与え、多くの人から癒される存在となっています。

 


この大理石は「ビャンコカララ」というイタリアのトスカーナ地方で産出される白い大理石です。そこに工房を持つ日本の彫刻家、安田 侃さんの作品です。

作品名は「意心帰」。

「意心帰」とはどういう意味でしょうか。

ご本人曰く、『これは私の造語ですが、一言でいえば「形は心を求め、心は形を求める」ということです。

たとえば、愛する人に対して「あなたを愛しています」と言ったとき、「どれほど?」と聞かれた経験がある人はいませんか。

愛には形がなく目には見えないため、不安に感じて思わず聞いてしまうわけです。

これが「心は形を求める」の意味で、「意心帰」は目に見えない心を“形”として表現することで、安心感をもたらしてくれます。

一方、この彫刻の形は見る人の“心”によって変わります。

もちろん本当に変わるわけではありませんが、気持ちが高揚しているときには、

この彫刻も生き生きと動いているように見え、気持ちが沈んでいるときには

死んで動かないように見えるかもしれません。』

 

あなたの心は何を求めていますか? 東京へ行かれたら是非ご覧になって、何かを感じてください。

作者 ご本人の安田侃さんです。

子供さんが中に入って遊んでいます。地球に抱かれているような安心感があるのかも?


右端の写真の風景に見覚えはありませんか?

そうです。新潟の信濃川の景色で橋は柳都大橋です。

実は安田侃さんの作品が新潟にも展示されているんです。朱鷺メッセの屋外庭園に「天秘」という名の作品があります。

信濃川のほとりに繭玉のような、地球が生んだ卵のようなまろやかな形をした作品です。

太陽の光が、刻々と白い石に光と影を与え移ろう人の心を映すような、またその石は日本海に沈む夕日にある瞬間朱鷺色に染まるそうです。

万代島の芝生の斜面に配された作品「天秘」は、細長い卵のような単純な形ですが、見る人の心を安らかにしています。

だから「やすらぎ堤」なんだ!・・・・ほんとかよ?  宮﨑